海外での腎臓移植(渡航腎移植)|各国での日本人患者の受入状況は
このページをご覧になる前には、医療機関やメディアによる渡航移植を批判する偏見に満ちた多くのサイトを目にされてきたでしょう。渡航移植に関しては、ごく一部の仲介団体による不適切なサポート活動があったことは事実ですから、正直に申し上げて海外での腎移植を実現することは以前に比べ難しくなってきていることは事実です。
では どうすれば良いのでしょう。終わりのない透析を一生涯つづけるしかないのでしょうか?
答えは「NO」です。このページの情報を理解することで、いまでも海外で腎移植を実現する方法をご理解いただけるでしょう。
◆このページの情報でご理解いただけること◆(読了時間:約15分) ・WHOのイスタンブール宣言とは ・受入れ諸国の現状 ・どの国が現在、外国人患者の移植手術を引き受けてくれるのか ・国内で献腎移植登録をするという選択肢は ・諸外国と日本の腎移植実施件数の違い ・各国の規制とドナーについて |
【WHOのイスタンブール宣言とは】
程度の差こそあれ、現代では国民の約5人に1人が何らかの腎疾患に罹患しているというデータ分析から、新たな国民病と言われている「腎臓病」。その腎臓病が進行して透析療法中の患者さま、あるいは間もなく透析療法に入るという段階の患者さまは、辛く厳しいその透析生活から解放されるために、海外での腎移植を希望している方も少なくないと考えますが、どこの国なら渡航腎移植が実現するのか、手術の成功率はどうなのかなど、医療の安全性と医療費などの費用を含む諸条件さえ整えば、すぐにでも海外渡航腎移植手術を受けたいとお考えの方も少なくないと考えます。
しかし、そんな切なる患者さまの希望を打ち砕くような国際的な動きがありました。WHO(世界保健機関)は2008年の年次総会で、「臓器移植医療は自国内完結を基本とし、他国へ渡って臓器移植を受ける移植ツーリズムは原則として自粛せよ」と発表しました。
この勧告は単に渡航移植の自粛を求めたものであり、世界的に何ら法的な拘束力はありませんが、これを受けて、それまでは医療機関側がドナーを用意して外国人患者の腎移植や肝移植などの生体臓器移植を積極的に展開していた、フィリピン・タイ・インド・インドネシア・ベトナムなどの国々は、新たな法規制を設けて表面的には外国人患者の受け入れの自粛へと発展しました。





では現在、どの国が外国人患者の移植手術を引き受けてくれるのか
では多くの国が外国人への門戸を閉じてしまった2008年以降、外国人患者はどこの国で渡航腎移植手術を受けているのでしょうか?世界には明確な臓器移植法がない国が数は少ないながらも存在します。それは当会が得ている情報では、中央アジア諸国であり中南米諸国、また、アフリカなど一部の国の病院が一定の条件を満たすことを前提に、現在でも外国人患者の臓器移植患者を受け入れているようです。
これらの国々は臓器移植法がないか、あっても州単位で運用されていたり、また、いくつかの条件を満たすことで「例外規定」の適用を受けて移植医療を享受することができるうえ、何より医療機関や医師の「医療行為はビジネス=利益追求」という、我が国とは異なる医療文化や社会制度が存在するため、アプローチを間違えず、かつ悪質な仲介者の話に乗らなければ、現在でも腎移植などの渡航移植は ほぼ完全に実現できるでしょう。表に開かれた国の顔は一つではなのです。
イスタンブール宣言後も、渡航移植を希望する外国人患者を受け入れている理由はこちらからどうぞ。
海外では腎臓病の根本治療である腎移植が日常的に行われており「透析は、あくまで腎移植までのつなぎの医療」と位置づけられているため、日本人のみならず世界中の多くの患者さんが移植医療によって腎臓病の根本治療を受けておられます。事実、我が国だけに絞ってみても、2023年3月時点で海外で受けた臓器移植後のアフターケアのために、国内の医療機関に外来通院している渡航移植患者数は543人であると、同年6月に厚生労働省から実態調査の結果発表がありましたが、この浮き彫りとなった患者数には、調査に対して非回答だった医療機関や、回答を求められなかった中小の病院は含まれていないため、実数はその数倍に上ると言われています。
さまざまな情報を基に、透析との決別を果たして自由で健康な毎日を取り戻すための腎移植、あるいはまた、辛く厳しい透析生活に陥る前に海外で受ける先行的腎移植で、タンパクや水分制限のない本来の生活を取り戻すことを真剣に考えてみませんか?
国内の臓器移植ネットワークに登録して献腎移植を待っていても、50歳代以上の年齢の患者さまの電話が鳴ることは、残念ながらまず期待できないのではないでしょうか。 理由としては主に次の2つが挙げられます。
第1の理由として、例えば60歳で透析生活に入ったとします。すると献腎移植が受けられるまでの平均待期期間はおよそ15年と言われていますから、計算上は75歳にならないと順番が回って来ません。そうなると腎移植手術を行うためのガイドラインにある「患者の年齢はおおむね70歳以下が理想」という一般的なガイドラインから外れる可能性が出てきます。最終的には医師が患者さんの全身状態を確認した上で決めることになってはいるようですが、献腎移植は臓器が死体から摘出されるので、その鮮度管理は極めて重要であり正に一分一秒を争う手術。そんな緊迫した現場において、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターや医師が、70歳あるいはそれを超えた待機患者の全身状態の確認をする時間的余裕があるのでしょうか?これが中・高年齢の患者さんに移植医療の順番が来ない第一の理由と推察します。
第2の理由は、患者の年齢により順番待ちのスコア付けに変化が生じたからです。10代~20代の若い患者には、待期期間・居住地・血液型・HLAタイピングなどの基礎点数に、特別に若年者点数が加算されるため、年配者よりも移植手術を受けるチャンスが広がる制度設計に変更されたのです。
人生の先が長い若い患者を救うことは社会的には意義のある施策ということに異論は挟みませんが、このために壮年以上の患者に順番が回ってくることは極めて稀なこととなっているようです。
我が国で2021年に行われた腎臓移植手術の総数(生体腎・死体腎)は1,773例で、そのうち親族から移植腎の提供を受けた生体腎移植が1,648例、献腎による移植件数は わずか125例と圧倒的に生体腎移植の割合が高い結果となりました。親族にドナーがいない患者はどうしたら良いのでしょうか。一方で諸外国の状況はというと,
24,600件 アメリカ(2021年)
3,145件 ヨーロッパ(2000年)
3,327件 フランスとイギリス(2000年)
3,406件 インド(2000年)
概算では上記のような移植実績であり、その7~8割が献腎によるものと推定されています。
またアメリカ以外の件数は25年前の2000年の記録であり、直近ではさらに数を大きく伸ばしているでしょう。
そこで我が国に目を戻すと、日本では腎移植希望登録者数13,738人(2021年12月現在)に対し、年間わずか125例(希望者の1%以下)の献腎移植しか行われていません。以上の現実から、費用は掛かるものの海外で腎移植を受けるという決断をする腎臓病患者さんが増加傾向にあります。
なぜ渡航移植かというと、国内で行う事前検査等をスムーズに行うことが出来れば、決断から申し込みを経て、わずか1~2ヶ月で腎臓移植手術が実現するということが、その大きな理由でしょう。
次のページでは、極めて辛い透析生活からの離脱、または透析に陥る前に腎臓病を治療する方法について解説しております。海外での腎移植実現までの流れ をご覧ください。
【ドナーについて米国とシンガポールの現状】
アメリカとシンガポールの臓器移植法から臓器提供者「ドナー」の条件を見てみましょう。
米国で数年前に行われた非血縁者間の生体腎移植手術が話題となりました。それは、ある音楽バンドのボーカルの男性が、最後の曲を歌い終わった後で観客にこう言ったのです。
「自分は腎不全を患ってしまったので、透析の準備などのため、しばらくの間は活動を休止せざるを得なくなった。透析生活に入るが体調が良くなったら復活する。それまで残念だが皆さんとはお別れだ」。
この告白を会場で聞いた一人の若い女性が「私はあなたの歌に励まされて生きてきた。あなたの大ファンだ。私の腎臓であなたを助けることが出来るのなら喜んで提供する」と善意の腎提供を申し入れたのです。
その後の紆余曲折は聞こえてきませんが、移植手術は無事に終わり、歌手は再び元気にステージで活躍しているとのこと。米国では感情的な繋がりがあれば、知人や友人からも腎提供が受けられるのです。
シンガポールとマレーシアも同様で、友人や同僚でも感情的なつながりがあれば、倫理委員会の審査を受けることにより、腎提要が可能なプログラムとなっています。ただしマレーシアでは、関係を偽装して(友人や知人を装って倫理委員会をパス)して腎提供をした場合、患者もドナーも最高刑は死刑まで課せられるようです。
また、これはあくまで余談となりますが、国家が公式に臓器売買を認めている国がひとつ存在します。それは中東のイラン。イラニアンモデルと呼ばれるこの臓器移植システムは、国家が管理するドナー財団に患者が一定の費用を支払うことにより、国家が患者にドナーを与えてくれるという大変に珍しいシステムがあるようですが、患者はイラン人に限られるそうです。
保険・医療費控除について
生命保険や医療費控除の活用方法に関する情報をお知らせいたします。
現時点で有効な生命保険または医療保険にご加入の場合、外国での治療であっても、現地医師団作成の診断書を添付することにより、手術給付金および入院給付金の請求を行うことが可能ですから、詳しくは各保険会社にお問い合わせください。
せっかく加入している保険です。有効にご活用ください。
また同様に、現地医師団の医療費領収書を添付することにより、200万円を上限とした所得税の医療費控除が受けられます。ただし国外での治療のため、高額療養費などの医療費そのものの還付を受けることは出来ません。
詳しくは、税理士または市区町村の税務課までお問い合わせください。
保険や税の控除を上手に利用しましょう。
ご相談は無料でお伺いいたします。
03-4283-7042(電話) または
080-7841-8989(医療通訳直通携帯)までお気軽にどうぞ。
◆深夜・早朝等を除き、週末や祝祭日も毎日ご相談を承っております◆
(所用で事務所を空けていることもありますので、まずは直通携帯電話をご利用ください)
万一お電話を受けられなかった場合は、必ず折り返しご連絡させていただきます。