海外で腎移植を受けたあとに必要な帰国後のケアについて
帰国後のアフターケア(予後管理)はどうするの?

現実として、多くの大学病院等では2008年に加盟各国によって批准されたイスタンブール宣言(渡航移植の自粛)を根拠に、HP上で「診療を拒否する」と公式に発表しています。この「診療拒否」をめぐっては、浜松医大病院が「正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反する」として、中国で腎移植を済ませて帰国した患者(私共のお世話ではありません)から、慰謝料などを求めて静岡地裁に訴えを起こされています。(2016年10月)
日本国民は等しく適切な医療を享受できる権利を持っており、たとえ医療を求めている患者が刑務所に収監中の囚人であっても、重大な犯罪を犯して自らも傷を負った犯人であっても等しく医療を受けられますが、海外で臓器移植を受けて帰国した患者に対しては、この応召義務があるにもかかわらず、実質的な診療拒否が横行していることは嘆かわしい限りです。
応召義務とは一口で言うと「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。(医師法 昭和23年法律第201号)」という医師法の一部で、正当な理由がない限り国家が医師に診療義務を課したものです。その応召義務の詳細についてはこちらからどうぞ。(外部サイトにジャンプします)
この応召義務がありながらも、診療拒否を公言している医療機関も実際にあるため、海外で腎移植、特に生体腎移植手術を受けようとする患者さんにとって、帰国後のケアに関する心配は、大きなものがあると思います。しかしどうぞご安心ください。 私共でお世話させていただいた患者さん方は、皆さん例外なく豊富な経験を有する移植専門医の手厚いアフターケアの下、免疫抑制剤の調整・処方を受けておられます。
当会がご紹介できる、「一人でも透析患者を減らしたい」という強い信念をお持ちの、ある高名な心ある医師は、「透析を続けても、何ら根本治療にならない。ならないどころか、一歩一歩確実に命を縮める。透析は本来、緊急避難的措置であり、一生涯にわたって続けるべき療法ではない。しかし現実問題として、このように国内で移植が受けられない悲しい現実があるからこそ、あえて海外にまで出掛けて健康を取り戻した患者を、なぜ診察拒否するのか。実に愚かで、けしからん態度だ」と憤っておられ、この心ある医師には、何人もの患者様の予後管理を引き受けてくださっているため、日々心から感謝しているところです。
事実、厚生労働省が2023年に日本全国の203施設に対して行った「海外渡航移植患者の実態調査」の結果を見ても、543名の患者さんが海外で移植手術を済ませて国内の医療機関にて予後管理を受けておられることが分かります。そして実態としては、わずか543名にとどまらず、その数倍の患者さんが海外で臓器職を受けていることも推察できます。
また、腎移植後のケアを専門に診ていらっしゃる腎臓内科医も「渡航移植後の患者の診療実態」 として、厚労省が行った調査結果を深く掘り下げていらっしゃいます。
このように海外で腎移植などの臓器移植を済ませて帰国された患者さんは、皆さま国内の医療機関でケアを受けておられますが、ご自身で予後管理をお願いできる医療機関に心当たりがない場合には、私どもが腎移植後のアフターケアに精通した経験豊富な医師をご紹介いたしますので、どうぞご安心ください。
大変に患者思いで、熱心かつ丁寧にケアをしてくださいます。ご本人のお立場もあるため、いま、このページでお名前をお知らせすることは出来ませんが、面談時にはご説明いたします。
帰国後にも免疫抑制剤の調整や、各種の検査が2~3ヶ月に一回ほどありますが、移植後は「厚生医療」が適用されるため、免疫抑制剤を含む医療費の自己負担は、高額所得者でも月に最大で2万円程度です。(自治体によって若干の開きがあるようです)
繰り返しになりますが、帰国後のアフターケアについては、大きなご心配にはおよびません。
ご希望であれば、心ある医師のケアを実際に受けている患者さんのお話をお聞きになることも可能です。
電話でも、直接お会いになってでも、ご自身の体験や近況をお話しくださいます。
さらにご不安でしたら、移植手術のために現地に渡航する前に前述の医師を訪ね、専門医ならではのアドバイスを求めることも出来ます。(ただし、保険を使っての通常の診察費は発生します)
この医師の診察室前の待合室には、海外で腎臓移植を済ませた患者が常に診察を受けに訪れてますから、ご心配には及びません。
すべてをお知りになれば、帰国後の予後管理についての懸念はなくなり、安心されることでしょう。
ご質問がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。
なお、移植術に用いられる臓器(ドナー)は、純粋なる医学的見地から移植施設の医師団によって選定されるものであり、当会や患者さんがドナーや臓器について関与する余地は一切ないことをご理解ください。