海外での腎移植(腎臓移植)悪徳仲介業者に注意。被害者は多数!
海外での腎臓移植(腎移植)手術を巡っては、昔から悪意ある仲介業者が暗躍しており、藁をもつかもうとする患者さまの気持ちを逆手に取って金銭を搾取するケースが多数報告されていますので、被害に遭わないよう実例を交えてお知らせします。
◆このページの情報でご理解いただけること◆(読了時間:約15分) ・臓器移植希望者を騙す悪徳業者とは ・彼らが金銭をだまし取る手口 ・透析クリニックの院長と事務長も詐欺に加担 ・悪徳業者に騙されないためには |
臓器移植希望者を騙す悪徳業者とは
悪徳業者と言っても、昔から組織立って動いている人物もいれば、個人的に動いている人物もいます。前者は日本人で後者は日本人と手を組んで詐欺を働く外国人が多いようです。
【実例1:フィリピンでの詐欺】
腎移植を巡るフィリピンでの詐欺被害は、おそらく100件以上あるはずですが、この実例は2016年から2018年ごろにかけての2年間に、およそ9,000万円の被害を受けた男性のケースです。
男性は会社経営者で数年の透析歴があり、たまたま知り合った日本在住のフィリピン人女性から「外国人への腎移植手術を行うことは2008年以降、表向きは禁じられたけど、政府高官と親密な関係を持つ私の友人に頼めば、「特別執刀許可」を保健省の大臣からもらえる。ついては挨拶と手付金として5万ドルをもって、私と一緒にマニラに行きましょう」と誘われ、その話を信じたご本人はマニラに飛びました。
すると「保健省の高官」を名乗る、身なりが立派な人物がホテルに現れ「5万ドルは手付として預かる。最初にすることは、私が指定する病院で、指定する医師の診察を受けてほしい」というものでした。
男性はそれに従い、とある大きな病院に連れていかれDr.XXを尋ねると、そのDr.の部下から「禁止されている外国人への臓器移植をすることは簡単ではない。移植チームの7人を日本旅行に案内し、強く深い関係を構築するべきだ」とのアドバイスがあったとのこと。男性はクレジットカードで7人分の航空券を購入して医師団を日本に招待し、東京・大阪・京都のゴールデンルートを案内し、宿泊は常に5スタークラスの最高級ホテルを提供。約10日間、7人の医師に小遣いを与え、かつ旅行中の全ての経費を負担していました。
その後も様々な理由を付けて数十万円~百万円ほどの金の無心があり、2度目の日本旅行にも招待し、北海道にも案内したとのこと。この時は総勢11人に人数が増えていました。
また、「組織の適合性が高い若いドナーを確保している。そのドナーと家族に援助しないと、せっかくの適合性が高いドナーに逃げられるから、毎月の支援を」。これに応ずると今度は「台風でドナーの家の屋根が吹き飛んでしまったから修理代が必要だ」。「ドナーの叔母が入院することになったため金が必要だ」などなど、何度も何度も金の無心にあったそうです。
「いつになったら手術が出来るのか」と重ねて問いただす男性に、最初に接触してきたフィリピン人女性は「もうすぐ保健省の内部移動がある。Dr.たちの息のかかった人物が国立腎臓移植研究所(NKTI)の所長に就任し、日本旅行に招待した11人のDr.たちもNKTIの幹部に抜擢される予定だから、それまで待つしかない」との返事。
ところが数か月が経過しても何も進展がなく、ある日「NKTIの人事に変更があり、特別執刀許可は下りなくなった。だけど移植チームのヘッドであるDr. XXはアメリカ・ユタ州の医師免許も持っており、フィリピンより費用はかさむが、アメリカだったら問題なく手術が受けられる」と手術舞台の変更を告げられました。
数か月後、男性患者はいぶかりながらも数十万ドルの現金を手に、医師団と一緒に訪米。しかし訪米中、彼らはほとんどの時間を観光に費やし、男性は一日おきの透析を受けながら、手術の日が来ることを心待ちにしていたものの、結局手術は実現せず、いいように資金を使われて、計算すると約9,000万円も費やしていまということです。
事の顛末はこうです。
最初に男性に接触してきたフィリピン人女性は、以前にフィリピンの病院で看護師をしていた関係で、確かに保健省とのパイプはあったものの、腎移植を切望する男性の心理に巧みに付け入り架空の医師団を創り上げ、その彼らは医師でもないのに2度もの訪日観光を小遣い付きで楽しみ、最後はアメリカ観光までやってのけたのです。観光のみならず、様々な理由付けをして男性から多額の現金も騙し取っていたことは言うに及びません。実在する医師ではないため、もちろん追跡は困難。最初に手付金として5万ドルを支払った「保健省の高官」という身なりの良い中年男性も、この腎移植詐欺のために用意された役者だったのです。
この9,000万円を搾取された男性は後に当会を訪ねてこられ、無事に腎移植をお受けになりました。もっと前に貴会の存在を知っていたらと深く悔やんでおられました。
●私どもがお手伝いさせていただく場合の費用について、その明細は費用についての詳細をご覧ください。
【実例2:フィリピンでの詐欺(2)なんと神奈川県の透析クリニックが詐欺の舞台だった】
少し古い話で、時は1993年に遡ります。当時、公立高校の教諭として働いていた40歳代の男性患者に透析クリニックの事務長から「フィリピン国立腎臓移植研究所(NKTI)の所長と話がついたので、1,800万円で手術が受けられる。ただしこれは公には出来ないルートのため、支払いは当方にしてもらう。当方から現地の所長に秘密のルートで資金を送るので、来月にはマニラで移植手術が受けられる」という話があり、「現に自分が一日おきに通院している透析クリニックの事務長や院長からのオファーだから安心だ」と信用した患者がクリニックへの支払いを済ませた翌月、単身でマニラの国立腎臓移植研究所のOna所長を訪ねるも、「そんな話は知らない。あなたは騙されたのであろう」として受け入れを拒絶され、緊急的に透析だけを受けて帰国した事件もありました。
本事件はその後、メディアの知るところとなり、東京放送(TBSテレビ)の「報道特集」でも取り上げられ、後に司直の介入を許すことに繋がりました。当会もTBSの取材に全面協力しました。
【実例3:作られた架空の移植手術のためにインドに渡航。でも空振りとなって無念の帰国】
横浜にある仲介業者の「インドのYY病院で生体腎移植が受けられる」との情報を信じ、費用の全額を前払いして単身インドに入った60代の男性患者。予約されていたホテルに入り、翌日、業者から指定された病院を訪ねたら3人の日本人患者と顔を合わせることに。あとから分かったこととして、その3人は男性と状況が一致していることが判明。一年ほど前に同じ業者に全額を支払っており、すでにカンボジアとインドネシアの2カ国に腎移植のために渡航したものの、手術は受けられず空振りのまま帰国。
一方で単身インドに渡った男性患者は、腎移植のためには初めての海外渡航。カンボジアとインドネシアの2カ国で空振りの経験を持つ3人とは別のホテルを用意されていたことが話をしているうちに判明した。つまり2カ国で空振りを経験した3人と、単身で渡航した男性との接触を避けるために、仲介業者はあえて別のホテルを指定した模様。
3人のうちの一人が、たどたどしいながらも英語を話せたため、病院のレセプションに「我々は腎移植を受けに来た。すでに話は通っているはずだ」と来院目的を説明するも、「そんな話は知らないし、外国人への移植手術をするには病院が日本大使館からNOC(異議のないことの証明)を取得する必要があるが、病院として大使館にリクエストした記録もない。誰がどのようにアレンジしたのか」などの問答が続いたあげく、副院長クラスの人間も加わって大騒ぎに展開。現地から横浜の仲介業者に電話して問い詰めると「あーそうですか、どこかで手違いがあったのでしょう。早く帰国してください」と、他人事のようなやり取りしかできず、やむなく4人は揃って帰国を余儀なくされたということです。
その仲介業者に支払った資金は、いまでも返金されていないということです。この話は単身でインドに渡った男性患者から直接お聞きしたものです。
この仲介業者は、いまでもgoogleに有料広告を掲載してホームページで患者を募っていますから要注意です。
このように患者の窮状に付け込んだ、海外での腎臓移植を簡単に実現させるという詐欺話は、昔から枚挙にいとまがありません。このページに記載したケースは、ほんの一例です。
一部のメディア等で、このようなトラブルを取り上げて報道しても、彼らは「騙すつもりはなかった。ただ受入れ環境が突然に変化したために予定どおりに進まなかっただけ」と、詐欺を否定するのが常です。
皆さま十分にご注意ください。
●私どもがお手伝いさせていただく場合の費用について、その明細は費用についての詳細をご覧ください。
【悪徳仲介業者の騙しの手口】
・悪徳仲介業者が患者をf騙す手口のほとんどは、最初から医療費を含めた総額の支払いを患者さんに要求する。
・その支払いが終わると、様々な理由の下で数十万円から数百万円の追加支払いを求めて来る。
・その追加要求の金額は千万円を超えるような大きな金額ではないため、移植計画が頓挫することを恐れる患者は、しぶしぶながら要求に応じてしまう。
・いったん追加支払いに応じると、悪徳業者はその資金の捻出方法を巧妙に観察し、患者の経済的な余裕度を把握して、さらなる追加要請をする。
過去に実際に被害に遭った患者さまは、概して上記のような方法で騙されていました。
では、どうすればこのような被害を避けることが出来るでしょうか。
【悪徳業者の餌食にならないために】
【方法1】仲介業者への依頼は極めて慎重に
悪徳業者の被害にあうことを避けるには、まずは仲介業者に「過去にサポートした患者に会わせて欲しい」と依頼することです。実務経験が豊富で誠実に患者さまのサポートを行っている団体であれば、喜んで移植済みの患者さんを紹介してくれるでしょう。
そのうえで、移植済みの患者さんの体験談は直接お会いになって、手術の傷跡まで見せてもらうことをお勧めします。それも一人だけではなく複数の移植経験者とお会いになり、同じ質問や業者のケア体制を複数人から聞き取ることで、その業者の真の姿を知ることが出来るはずです。紹介された体験者から電話で話を聞くという方法もありますが、電話だと業者が用意した「サクラ」と話すこともあり得ると考えるからです。
【方法2】全額の支払いは避ける
医療費までも含めて一括パッケージでサポートするという団体には、特段の注意が必要です。
別ページ「費用について」でも延べましたが、サポート費用と医療費は分けて考えるべきです。一括して支払ってしまうと想定外の事態が発生した場合、全資金は仲介業者にわたっているため、使い込みを許すことになります。したがって医療費は現地医療機関に到着するまでご自身で管理し、かつ医療機関への支払もご自身で行うことを特に強くお勧めします。「全額一括支払いしか受け付けない」という仲介業者は信用せず、他の情報も収集して冷静な判断をすることが求められます。
40年近く医療通訳としてこの世界を見続けてきた者としてハッキリ言います。フィリピンやベトナム、インドネシアやスリランカなどで移植が受けられるという誘い文句は詐欺を強く疑ってください。
また、仮に移植手術が受けられることになっても、その手術はパキスタンで問題となっているケース同様、驚くべきことにその多くは「病院」ではなく、民家を改造した「即席の手術小屋」で行われるでしょう。
2008年にWHOにより「渡航移植の原則自粛」という方針が打ち出されたあとも数年間は、様々な政治的なルートを通じて移植手術が受けられていた東南アジアの国々も、いまや完全に法令や規則を遵守していますから、裏口入学での移植手術は受けられません。悪徳業者は巧妙な語り口で「安心・安全に移植手術が受けられる」と誘ってきますが、結局は資金をだまし取られるだけですから、甘い話には決して乗らぬよう特に注意を喚起いたします。
当会としましては、いわば同業者とも受け取られかねない組織の悪行を晒すことは、私どもに対するあらぬ誤解を招く恐れもあるため本意ではありませんが、患者さまの被害を未然に防ぐという意味で情報提供をしております。賢明な皆さまは、このような巧妙な詐欺には十分にご注意ください。
保険・医療費控除について
生命保険や医療費控除の活用方法に関する情報をお知らせいたします。
現時点で有効な生命保険または医療保険にご加入の場合、外国での治療であっても、現地医師団作成の診断書を添付することにより、手術給付金および入院給付金の請求を行うことが可能ですから、詳しくは各保険会社にお問い合わせください。せっかく加入している保険です。有効にご活用ください。
また同様に、現地医師団の医療費領収書を添付することにより、200万円を上限とした所得税の医療費控除が受けられます。ただし国外での治療のため、高額療養費などの医療費そのものの還付を受けることは出来ません。
詳しくは、税理士または市区町村の税務課までお問い合わせください。
保険や税の控除を上手に利用しましょう。
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